今回はタルムードの小話の第九段です。
タルムードとは?については前回の記事(難破船の3人の乗客)でご紹介してます!
ユダヤ人は交渉、討論が大好きです。深い議論を交わせる相手を信頼するようです。
タルムードの小話に出てくる物語も交渉や議論をする場面がたくさん描かれています。
本当にどんな場面でも議論がかわされており、今回のお話で口論するのは両手、両足、両目と口です。
とても面白いのでぜひ最後までご覧いただけると嬉しいです!
- 両手、両足、両目と口、誰が一番偉い?というお話
- 舌の先に幸せがある
- 主張、質問を怠るな
両手、両足、両目と口、誰が一番偉い?
ある国の王さまが病気にかかっていました。
王さまの病気を治すには母ライオンの乳が必要でした。
恐ろしいライオンの乳をしぼってこれる勇気のある人物はなかなか現れませんでした。
ある村の若者が、乳を手に入れるアイデアを考えつきました。
それは、寝ているライオンにそーっと近づき乳をしぼってくる方法です。
若者は作戦を実行し、ついに母ライオンの乳を取ることに成功しました。
王さまの元へ、ライオンの乳を持っていく最中に両目と両足と両手が喧嘩をはじめました。
私がライオンの距離を正確に測れたから作戦は成功したのだ。だから褒美は私が一番多くもらうべきだ
何をいうか、私がいたからこそライオンが起きたとしても逃げることができた、もちろんライオンに近づけたのは私のおかげだ
何を言う、私がいたからこそライオンの乳を絞れたのではないか、私こそが最も大事な役割だったのだ
その口論を聞いて今まで何もしてこなかった口が喋り始めました。
何もわかっていないな、私こそ一番多くの褒美をもらうべきなのだ
両目、両足、両手はそれを聞いて強く反論しました。
「「「お前は何もしていないではないか!お前の褒美はなしに決まっているだろう」」」
ほどなく、王様の元へ着きました。
すると着いた途端に、口は大きな声で喋り始めました。
王さま、ここに犬のミルクを持ってまいりました!これで王さまの病気は治るはずです。
王さまはこれを聞いて大激怒です。
「なんだと!?犬のミルクで治るわけ無いだろう、即刻このモノを処刑せよ!!」
それを聞いた両目と両足と両手は震え上がりました。
口よ、頼むから本当のことを言ってくれ!!
このままでは殺されてしまう!!
なんでも言うことを聞くから助けてくれー!!
ほら、私こそがいちばん重要なのだ。褒美はすべて私がもらうぞ
両目と両足と両手は渋々了解するしかありませんでした。
解説
この物語はシンプルに笑い話なのですが、とても大事な価値観が描かれています。
それはどんな行いや成功であってもそれを説明できることが一番大事ということです。
ユダヤ人の価値観では、師匠の背中を見て弟子が学ぶということは理解できないのでしょう。
相手への説明がどれだけわかりやすいか、論理的であるか、ということを突き詰める必要性を学ばせてくれます。
なぜ目と手と足は2つあるのに、口は一つだけ?
人間には目、手、足が2つあります。鼻の穴も2つです。
ですが、なぜ口だけは2つなのでしょうか?
これについてユダヤ人は「なぜなのか?」を古来より議論してきました。
このお話でも口が最も偉いと描かれていますが、
ユダヤ人は議論をとても大切にしています。
言葉が重要であると同時に、議論をできる相手を信頼するという価値観を持っています。
一つ、ユダヤ人の格言を紹介します。
舌の先に幸せがある
黙っていては幸せは逃げていくという意味です。
自分の言葉を主張できないと、どんどん立場が不利になっていき、幸せを逃がしてしまいます。
それだけ、自分の主張は大事なことであり、また、「質問」をすることが重要です。
国際ビジネスの現場では、「質問をしなかったこと」が命取りになる場合があります。
とくに欧米の企業は聞かれなかったことを開示する必要がないという文化があります。
不明なところ、疑問なところはどんどん質問しなければ相手に有利な条件で進められてしまいます。
最後に
最後まで読んでいただきありがとうございます!
今回のお話は「主張することが大事」、「質問をしよう」というお話でした。
意見を主張するということは中々難しいことってありますよね。
日本では「KY」という言葉が流行ったり、空気のほうが重要されている感じすらあります。
自分の子供達にはきちんと主張できる、大事なことは質問できるように育ってほしいです。
そうなるためにも親としてきちんと子供の意見を対等に聞いてあげることが大事だなと感じます。
それでは、良い子育てを!
ブログランキングに参加してます!
よろしければポチッとお願いします!
にほんブログ村
参考書籍紹介
今回紹介したタルムードの小話はこちらの書籍でも紹介されています。
小話の紹介だけでなく、ユダヤの家庭教育についても詳しく調べられており、
子育てのヒントになる情報がいっぱい詰まっているオススメの書籍です。
コメント